呼吸器の領域に限っていっても、病気にはさまざまなものがあり、その中にはかなり難治性の(治りにくい)ものもあります。ステロイド剤は知識に習熟した医師が、理論と経験に基づいて使用すれば、かなりの難治の病気でも上手に治療したり治癒させたりすることが出来ます。
ステロイド剤を使用すべきか否かは、「患者さんの生命的見地から、また疾患の難治度などから見て、明らかにステロイド剤の副作用などの不利益面を、利益(メリット)が上回るかどうか」で決められます。また使用する場合にも、その量は大量から少量までさまざまです。使用期間も一日のこともあり、数日や数ヶ月のこともあります。
ステロイド剤は通常、病気の勢いを上回る量を用いて、安静などで病勢を鎮めながら、次第に減量していく方法(漸減法)がとられます。そのような指示が医師から出た時には、症状などについて、良くなったかどうかを詳細に報告し、医師の指導に従い使用して行くことが必要です。勝手にやめたり、量を減らしたりしないようにしましょう。難しい疾患ほど、治療には医師と患者との協力が大事です。
気管支喘息でも、ステロイド剤はやや治りにくい場合に用いることが多く、内服で用いる事もありますし、内服の量を減らすために吸入の形でステロイド剤を用いることもしばしば行われています。吸入は副作用が少ないからです。
内服のステロイド剤でときどきみられる副作用は、糖尿病、高血圧、骨粗しょう症、病気に感染しやすくなる(易感染性)、などがあります。しかし多くは予防できますし、もし副作用が起きたとしても治すことが出来ますから、あまり取り越し苦労はしない方が良いでしょう。
吸入ステロイド剤の場合はほとんど血液中に移行しないため、副作用も非常に少ないといわれています。
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